2009年度第2回英検1級問題分析 Part.4 リスニング問題解説

アクエアリーズには1970年から2009年までの約40年間の英検1級の全問集がありますが、リスニング問題に関しては、今と昔では雲泥の差があります。30年前ぐらいは今の準1級のリスニング問題よりも数段やさしく、Part 2のパーセージリスニング問題などは、140WPMのスピードで2回聞いて解くといったレベルでした。ところが、東京の受験者に特に見られるような帰国受験生の増大に伴い、リスニング問題のレベルと平均点がどんどんと上がり、長期留学経験や滞在経験の無い、日本で英語の勉強に取り組んでいる受験者にはハードルの高いものとなってきました。

 

そこで、「帰国」に対して”level the playing field”として編み出したのが、選択肢から答えを割り出すという戦法です。これは純粋リスニング力UPという見地からは邪道ですが、英検を何回受けてもスコアが伸びずパスする希望も無く、ややもすれば英語の勉強をやめてしまいそうな人を激励するために生み出しました。しかし、私の英語教育哲学は、日本で絶え間ぬ努力をし(CNN Express、ビジネス英語、英語ドラマなどを1日に最低1時間、できればリスニングマラソン3時間)、帰国に負けない「リスニング基礎体力をつける」という点を予め力説しておきます。

 

さて、問題の「選択肢から答えを割り出すやり方」ですが、大きく分けて次の3つの点が重要です。1つは「共通項目を探す→問題が割り出せる」、2つ目は「Confusionを利用した問題の裏をかく→問題が割り出せ答えまでわかる」、3つ目は「常識を働かせる→誤答を削除し解答らしきものを予測できる」です。

 

秋の問題の場合、配点の高いPart 4Part 3は絶対に落とせないので、それらのストラトジーを用いて、まずPart 4のインタビュー問題から解いてみましょう。問題26では選択肢から問題は、4を除いた共通項目「エディターの特徴」についてであることがわかります。よってまったく関連性の無い4は即座に削除し、次にless strict, preferable(=better), easierの「共通項目」である「比較級の選択」が重要であることがわかります。次にconfusionを利用して難問を作るパターンを見抜き、1つはforeign editorsを含んだ1と3、もう1つはJapanJapaneseを含んだ23が紛らわしいとうことがわかります。そして最後に常識を働かせると、1と3に対して2の方がmore likelyであることがわかります。私は専門分野の背景知識から瞬間的に2に勘が働きましたが、いくらなんでも1の選択肢はおかしいでしょう。

 

問題27は、同じく選択肢から彼女のティーチングメソッドに関する問いであることがわかるでしょう。よって1は浮いているので即座に削除し、4は△の、正解は23であることはすぐにわかるでしょう。よって放送を聴いているときにその点に集中して聞けばいいわけですが、私は常識的判断、英語教育の経験のどちらからも2より3が正解であるとわかるので、放送を聴かなくても答えが解ります。このインタビューリスニング問題は、最近難しくなってきており、放送を聴いても2問とも間違う人がいるようですが、このように選択肢から簡単に解けます。

 

次にPart 3の問題では、例えば21番はまず、共通項目を考えると、「コンタクト」の取り方であると解るでしょう。よって1を省き、”daughter”を用いたconfusion24に絞ることが出来ます。ちなみにこの選択肢と解答はTOEICでよく使われるパターンで、あまりによく似ているので目を疑いました。また23番では、まず「売り上げを上げるための方法」ともう1つの共通項目「Give」から見当をつけながら、常識を働かせて34はありえないなと省き、次に正解2を放送を聴かなくても割り出せれば、先読みの上級者です。

 

さて皆さんいかがでしたか。段々コツはつかめてきましたか?でももう一度念を押しておきますが、この選択肢から答えを割り出すという戦法は、純粋リスニング力UPという見地からは邪道で、年を取ってリスニング力がかなり衰え始め、英検を何回受けてもスコアが伸びず、希望も失い、英語の勉強をやめてしまいそうな人を助けるためのものですから、CNN Express、ビジネス英語、英語ドラマなどをマテにしながら、1日に最低1時間、できれば「リスニングマラソン3時間」をしてこつこつ努力し、「リスニング基礎体力をつける」ということの重要性を忘れないようにしましょう。それでは皆さん、明日に向かって英語の道を

Let’s enjoy the process!(陽は必ず昇る!)

 

 

 

 

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