次は、日本文化のみならず東アジアにまたがるような民族の文化性を問う問題ですが、いかかでしょうか。

Q4. Why don’t many Japanese look other people in the eye when speaking?
(日本人は話をするとき人の目を見ないのは何故?)
A. 一般的に相手の目より、胸元ぐらいを見て話す方が礼儀正しいとされています。ですが、最近では明確に自分の意思を伝えるために、相手の目を見て話す事は大切だと教える親や教師が増えており、この傾向は変わりつつあります。 A. Generally speaking, fixing your eyes on the other’s chest is considered to be polite rather than fixing on the other’s eyes. However, as an increasing number of parents and teachers place emphasis on eye contact when communicating, this tendency is changing.

[一言アドバイス]
これも問題点が多く、”because”もなく、第2文は理由を聞いている質問に答えず、キーアイデアのサポートもせずに、最近はその状況は変わって来たと言っているので次のように変えます。

Because many Japanese people still think it is polite to fix their eyes on the chest of the other. As indicated by the Japanese expression referring to a person who is older or of a higher rank than oneself, “meue no hito” which literally means “ a person who is above one’s eyes”. In this social hierarchy, Japanese people are culturally conditioned to avoid making eye contact and place others in a superior position when speaking in order to maintain a harmonious relationship (80語―32秒)

大意
未だに多くの日本人が胸元か他を見るのが礼儀だと思っている。「目上の人」という言葉があるように、日本人は人を立てて和を保つため、目を合わせないようにして話すという文化を持っている。

次も日本ならごく普通の光景です。早速チャレンジしてみましょう。

Q5.Why do the Japanese fall asleep on trains?
( 何故日本人は電車で眠るのですか?)
A. まずは日本の電車が安全だということです。眠っていてもスリの標的にされることはまずあり得ません。また、多くの日本人、特にオフィスワーカーは平均睡眠時間7時間以下で、疲れているので、睡眠不足を少しでも解消するいいチャンスなのです。 A.Firstly, being on trains in Japan is very safe. You’ll hardly be a fair game for theft even when sleeping on trains. Secondly, since Japanese people, especially office workers don’t get enough sleep, averaging less than seven hours, sleeping on trains is a good chance to catch up on.

[一言アドバイス]
これはすばらしい。signpostingもしているし、”a fair game”というイディオムを使って表現力も豊かだし、”averaging”と言う「分子構文」を使って英語を引き締めているまさに模範解答と言える。ただ、出だしを”I think there are two reasons for the habit.”などではじめて欲しいものです。

それでは最後の問題です。頑張って参りましょう。

Q6.Why do even adults read comic books in Japan ?
( 何故漫画は、大人が電車で読むほど人気なのですか?)
A.まず日本の漫画は質が高いことを知っていただきたいです。複雑なストーリーになっていたり、歴史や経済が学べるものもあり、大人が十分楽しめる内容になっているのです。そして、電車の中で大人が読んでいるのは、疲れていても気楽に読めるからでしょう。 A. Because first, I would like you to know that Japanese comics are sophisticated, having intriguing stories, including educational ones ranging from history to economics so that adults can really enjoy. Second, adults read comics on trains because they are easy to read even when adults are tired.

[一言アドバイス]
この英語はどうですか。確かにsignposting はしていますが、”I would like you to know that 〜という出だしは感心しません。それよりも” I think〜”を使って自分の意見を述べましょう。それから第1のポイントと第2のポイントが矛盾している点に気づきますか。”sophisticated(=very well designed, very advanced, and often works in a complicated way)”と”easy to read”という点です。そういった点を踏まえて直すと次のようになります。

I think there are two reasons for the adult readership in Japan. First, Japanese comics are rich in variety, ranging from intriguing ones to inspiring ones to merely diverting ones that are easy to read. Many of them are written in such a sophisticated way that even adults can enjoy them. Second, Japanese workers’ long commuting after hard day’s work tempts them into light reading for relaxation. Those easy-to-read and entertaining types are much better than text-only books for those stressed-out Japanese workers.(83語―33秒)

大意 
第一に種類が豊富。奥が深いものから、やる気を起こさせてくれるもの、単純に面白いものまでいろいろあり、大人も楽しめるように見事な技法で描かれているものが多い。もう一つには、一生懸命仕事をした後の通勤時間には、軽い読み物でくつろぎたくなるものだ。

さて皆さんいかかでしたか? こういったようなやり取りは、日本人が外国人と英語で中身のある会話する時、つまり異文化間コミュニケーションをする時には頻繁に起こります。ですから「外国人が日本人によく聞く質問100」や「日本その姿と心」を始め、講談社から英語日本語対訳で出版されている日本文化の本などをどんどん音読Inputして、英会話で使いましょう。せっかく外国からの訪問客を案内するチャンスがあっても、何の準備もせずに出かけては相手も退屈してしまうし、自分の英語力を伸ばす効率も悪くなります。名所の案内や日本事象くらいは、前もって準備して話すようにしましょう。私たちの英語とは、そういった努力を積み重ねていった結果、ある場面、場面で実を結ぶものなのです。

Let’s enjoy the process! (陽は必ず昇る!)

なお通訳ガイド2次試験に欠かせないアーギュメント力を一気にUPさせたい方には、Ichy Ueda著の新刊「英語で意見を論理的に述べる(ベレ出版)」が絶対お勧めです。この本は、通訳ガイド2次試験対策ばかりか、新傾向の自由英作問題、英検1級2次試験対策、国連英検のライティング問題およびその2次試験対策などにもうってつけです。国際化の中でまさに日本人に求められているアーギュメント能力(明確な理由付けをして証明したり、説得する力)を鍛えるバイブルともいえる力作と言えます。是非ご一読ください!!

Contentsは以下の通りです。

第1章 なぜ、今アーギュメント[ディベート]力が重要なのか
第2章 ワンランクUPの論理的スピーキングトレーニング
第3章 論理性を鍛えてアーギュメント力ワンランクUP!
第4章 論理的スピーキングUPの表現集!
第5章 ワンランクUPアーギュメント実践トレーニング
(ビジネス、サイエンス&テクノロジー、教育、ジェンダー、医学、エコロジー、メディア、政治法律)
第6章 アーギュメントに強くなるためのキーアイデア集
第7章 ディスカッションの社会問題トピックを分析!